67 三本杉

67 三本杉


 芝中団地の北に大きな杉があります。樹令は三百年位ではないかと思われますが、もとは三本あって蔵敷の三本杉といわれていました。
 そのうち二本は特別"めおと杉"という位揃っていて根元は一体に近づいていました。高くそびえて小平、砂川七番あたりからも見え方向さだめになりました。その杉も昭和二十五年頃揃った方は上が枯れて切ってしまい、今は一本立っているだけです。

 杉のある附近は百年余りも前のことですが調練場があり、農兵が農事のあい間に軍事訓練を行っていた所です。杉の下には三十坪位の塚があり、石で出来た山王様がありました。
 原にあるこの塚は三角形をしていて、お年寄りが三方に腰をかけながら一休みする所でもありました。ここで凧あげをしたともいいます。大人は畳二枚位の大凧をあげた人もいました。この塚には蛇がたくさんいて蛇塚という人もあります。
 団地が棟を並べ商店街がひらけて杉と山王様は三角地の網の中に整備され、杉にまつわる因縁話も昔の面影もそこ一角にとぢこめられてしまいました。
(『東大和のよもやまばなし』p145~146)

           東大和市史資料編 9p55